ブエノス小僧のイラストブログ

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ハンプトン・ローズの怪物・その二(モニターの挑戦)

前回「ハンプトン・ローズの怪物・その一」からの続き・・・

1861年アメリカ南北戦争が勃発。
1862年3月8日、南軍装甲艦「バージニア」は封鎖を試みていた北軍の軍艦とハンプトン・ローズで交戦。
それは「バージニア」の独壇場だった。

北軍の木造帆船コルベット「カンバーランド」を衝角攻撃で撃沈。
さらに「コングレス」を爆沈させる。


翌3月9日、応急修理を施した「バージニア」は、座礁中の北軍軍艦「ミネソタ」(木造帆船)にとどめを刺すべく再出撃する。
しかし、そこに待っていたのは、後に「バージニア」と同じ装甲艦に類別されることになる北軍の新装甲艦「モニター」だった。(アンケートモニターのモニターではない)

「・・・・?なんやろアレ?缶詰の缶みたいなケッタイなやつが、こっちに来るでぇ!」
「バージニア」の見張りが「モニター」を視認したとき、そう思ったのではないだろうか?(ボクの想像)

monitor23.jpg
《右砲戦態勢で接近する「モニター」とした。
水面上のモニターは薄い板切れの上に丸い缶詰の缶を載せたようだ。
絵に描いてみると、以外にもムズカシイ!
アホらしいほど単純な形なので、オモチャのようになってしまう》



これより前、北軍の装甲艦「モニター」は荒天の中をニューヨークからハンプトン・ローズに向かって出撃。
なんとか、夜遅くにハンプトン・ローズに到着したのだ(ジョン・L・ウォーデン大尉が指揮)。

「モニター」は味方(北軍)の軍艦を南軍装甲艦「バージニア」から守り、さらに装甲艦「バージニア」の脅威から北部の都市を守るために急がされて来たのだった。

「モニター」は3月9日午前1時、座礁していた北軍軍艦「ミネソタ」の視界に入る。
ということは、まもなく「モニター」と「バージニア」は交戦しただろうから、夜戦ということになるのでは(調べてみたが、わからない)?


「バージニア」を確認した「モニター」は距離1800メートルで砲撃開始。
砲弾は「バージニア」の装甲に命中、激しい衝撃を与えるが、鉄板にひびをいれたにとどまる。
つづく2発目は跳ね返される。

これに対して「バージニア」も反撃を開始、1発が「モニター」の砲塔をへこませる。
両艦の乗員は、砲撃の音で耳が聞こえなくなり、砲煙で何も見えなくなりながら砲撃を続けたという(換気も悪かっただろう)。

戦闘は接近戦になる。互いに衝角(ラム)攻撃をしようとするが、両艦とも運動性が悪いのでうまくいかない。
4時間半の激戦のすえ、「バージニア」のブキャナン大佐はついに退避を命じる。
(ほぼ同時に「モニター」のウォーデン艦長も退避を命じたという説がある。)

hunptonroadskessen12.jpg
《接近戦をする「バージニア」と「モニター」。手前が「バージニア」。
夜戦だったろうというボクの想像で描いた(ちがうかも?)。
4時間半もの戦闘だったというから、同航戦(同じ向きに航行して戦闘すること)だっただろう》



両艦とも損害がでており、「バージニア」は沈没を避けるために、
幾つかの砲を捨てなければならなかった。

二隻の装甲艦は、どちらも問題が多い艦だったが、「モニター」の砲はバージニアの砲と比べてかなり強力だった。
「バージニア」が辛うじて「モニター」の装甲をへこませただけなのに対して、「モニター」は「バージニア」の装甲板に数ヶ所のひびを入れる。

攻撃の際、「モニター」は主に徹甲弾を使って「バージニア」の上部構造を狙った。
設計者エリクソンは、それを聞いて、『もし榴弾を使い吃水線を狙ったならば、「バージニア」は容易に沈んでいただろう』と激怒したという。(Ken Burnsのドキュメンタリー"The Civil War, episode 2: A Very Boody Affair: 1862"より引用。)
「バージニア」は水線下は木造のままだ。もし水線下に「モニター」の砲弾が命中していたら、あっけなく、決着がついたかもしれない。


続く2ヶ月の間、「モニター」を戦闘に引きずり出そうと、「バージニア」は数回、単艦で出撃する。
一方、北軍は「バージニア」を北軍の都合のよい水域におびき寄せ、海に出てきたところを、「バージニア」の水面ぎりぎりの甲板の両端に大型蒸気船を乗り上げ、そのまま沈めてやろうと目論んだ。
ただ、「モニター」はどうしても避けようがない場合を除いては戦いに参加しないよう、大統領命令を受けていた。

結局、「バージニア」対「モニター」の装甲艦同士の戦闘は再起せずに、ハンプトン・ローズ海戦は終る。
南軍装甲艦「バージニア」は3月8日の戦闘で北軍に打撃を与えたが、戦略的には目的を果たせなかった。


<北軍装甲艦「モニター」のこと>

北軍装甲艦「モニター」はスウェーデンからの移住者、発明家でもあったジョン・エリクソンが設計。
南軍が「メリマック」(改装後は「バージニア」)を装甲艦に改造しているという情報を得て、急遽建造を始め、1862年2月下旬になんとか完成させた。

<船体と装甲>、
排水量1200トン(987トン説もある。ライバル「バージニア」よりかなり小型だ)、
史上初の鉄材だけで作られた艦だった。
乗員は55人。

鋼板で装甲された上甲板は水面ぎりぎりの高さしかなく、砲塔と小さな矩形の操舵室、分離可能な煙突および少数の取り付け器具を除いて、艦の大部分は敵の砲撃からの損害を防ぐために水線下にあった。
水面上の「モニター」の姿は、とても薄い板切れの上に丸いツナ缶が乗っているようだ。
敵艦から見れば、船体はほとんど波に隠れ、ツナ缶のような円筒形の砲塔だけが見えたのではないだろうか?

内径20フィート(約6m)の砲塔は8インチから9インチの鉄板(約23cm、重量120トン)で覆われ、
側壁は2インチから4.5インチ(約11,5cm)、甲板は0.5インチ(約1,3cm)の鉄板が使われていた。

<武装>
11インチ(約28cm)のダールグレン滑腔砲2門のみ。

<機関、航行性能>
「モニター」は、建造に100日かけ、1862年1月30日にブルックリンのコンチネンタル製鉄所からニューヨークのイースト.リバーに運ばれて進水。
47の新案の発明が使われていたが、テスト航海で多くの問題が明らかになる。

船は舵に反応せず、船体には水漏れがあり、ベンチレーターが役に立たなかった。
排気ガスが船室内に満ちて船員達を悩ませる。
その蒸気機関は推進機の他、砲塔の旋回、弾薬供給、機械室の通風などにも使われた。
速度は9ノット(時速18km、ライバル「バージニア」と変わらない)

それでも、「モニター」は革新的だった。
艦の部品は9カ所の鋳造所で鍛造され、1カ所に集められて建造。
「モニター」は 旋回砲塔に加え、エリクソンによるスクリューが装備された初の海軍艦艇だった。
設計者エリクソンは「モニター」に近代潜水艦の装備の多くを試み、いわば最初の「半潜水艦」として完成させた。
「モニター」の特徴である、鉄製、旋回砲塔などは、その後の戦闘用艦艇がことごとく装備するようになることをみても、先進性がうかがえる。

帆船や蒸気帆船がほとんどだったころ、どうですか「モニター」の怪物ぶりは?
一方、南軍装甲艦「バージニア」は上部が装甲で覆われてはいたものの従来の木造船であり、既存の艦の延長に過ぎない。


ハンプトン・ローズ海戦の結果、装甲艦の武器としての優位性が認められる。
装甲をもつ艦とそれをもたない艦が交戦すれば、もたない艦の劣勢がハッキリしたのだ。
「モニター」の登場は、それまでの木造軍艦を一気に時代遅れにして、軍艦は鉄の時代に突入した。

北軍の「カンバーランド」を撃沈した衝角(ラム)はその後に就役した軍艦に装備される。有効と認識された。
しかし、砲が発達して日露戦争で砲撃のみで敵艦を撃沈出きることがわかると、衝角(ラム)を装備する艦はなくなっていく。

これより数年前、久里浜に現れた4隻のペリー艦隊は
「黒船」の名前から鉄張りと思われがちだが、実はちがう。
2隻は木造の蒸気外輪船、2隻は木造帆船だ。


実は、軍艦の艦種にモニターというのがある。
艦体に比べてデカイ砲を搭載し、
喫水が浅く。波の静かな内海や河などで用いられる艦種だ。

その目的は搭載したデカイ砲での対地攻撃だ。
デカイ砲の移動手段だった。
陸上でデカイ砲を移動させるのはムズカしい。

それに比べると船には巨砲を積むことができる。
艦載砲が陸上の砲よりデカイ理由だ。
その艦種名モニターは、今回の北軍装甲艦「モニター」に由来する。


<その後>

「モニター」は1862年12月31日、運送船「ロードアイランド」による曳航中に高波におそわれノースカロライナ州ハッテラス岬沖で沈没、62名の乗組員のうち16名が行方不明となった。
水面ぎりぎりの高さしかない「モニター」の上甲板が波が荒い海では、致命的な弱点だったのだろう。

南北戦争は、南軍に利あらず、南軍はノーフォーク地区を見捨てることになった。
南軍装甲艦「バージニア」はハンプトン・ローズをうまく脱出するチャンスがほとんどないことが判ると、
鹵獲されるのを防ぐため、1862年5月11日の早朝、「バージニア」をクレイニー島へ擱座させて火を放った。
約1時間に渡って猛烈に燃えた後、弾薬庫が大爆発して果てる。



ハンプトン・ローズ海戦の結果をみて、各国で装甲艦が建造される。
その不思議な形がとても面白い!
また、装甲艦のことを書きたい。



ハンプトン・ローズの海戦
http://www42.tok2.com/home/fleet7/Museum/Muse049.html
wikipedia「ハンプトンローズ海戦」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA%E6%B5%B7%E6%88%A6
を参考にしました。









  1. 2013/09/24(火) 06:51:20|
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