ブエノス小僧のイラストブログ

興味があることを、ガサガサ、ゴソゴソ、画いたイラストといっしょに掲載します。

日夜天に轟き(信長夜話・その93)

「今年もボジョレーヌーヴォーの季節になりました。」
スーパーで試飲する男女が、「フルーティーで飲みやすーい!」と笑顔。
「今年は天候にも恵まれ、出来が良いそうです・・・」
と、夕方のテレビニュースのなかで流れた(CMではない)。

その通りなんだろう。
でも去年も、そんなこと言っていた。いや、一昨年もそうだった。
いや、毎年、同じようなことを言っている。

「今年は〇△が悪かったので、美味しくないんです・・・」
とは言えないのだ。
だとすれば、情報としての価値はない。

毎度、「フルーティーで飲みやすーい!」のだから。
美味しく出来た年と、美味しくない年があるのは、当たり前なのだが・・・

それは、タレントの飲食店での食レポ(こういうらしい)も同じ。
「うまくない!」という言葉は禁句なのだから。




ということで、
前回の「雑賀衆(信長夜話・その92)」からの続き→


元亀元年七月二十一日
阿波で挙兵した三好勢は、八月、野田・福島に砦を築き、京をうかがう様子だった。
二十六日、織田勢は三好勢の籠る野田・福島の両城へ攻め寄せた。

信長は先陣を城に密着させ、多くの陣地を築かせた。
信長自身は天王寺に本陣を据えた。


『九月八日には大坂から十町西の楼の岸(ろうのきし)に砦が築かれ、斎藤新五・稲葉一鉄・中川重政の三人が入った。
また川向かい.の川口(現西区)にも築城、平手監物・平手汎秀・水野監物・佐々成政らが入れ置かれた。』
『信長公記』の記述。


「楼の岸」も「川口」も、本願寺のすぐそば。

ここに出てくる地名「楼の岸」だが、どう読めばいいのだろう?
ボクは「ろうのきし」としたが・・・?

「楼」の訓読みは「たかどの」、もの見櫓の意味。「たかどののきし」だろうか?
調べてみたが「読み」がみつからない。きもち悪い。
「書いた人も読みがわからないので、ルビをふらなかったのかも?」などと邪推(じゃすい)している。


脱線した。

『九月九日、信長公は天満の森(川をはさんで本願寺の対岸)へ本陣を移し、
翌日から敵城の周囲に散在する入江や堀を草で埋め立てさせた。

そして十二日、公方様と信長公は野田・福島から十町(約1090m)北の海老江(現福島区)に移ってここを本陣とし、
諸勢に総攻撃を開始させた。

足軽たちが夜ごと作業して築き上げた土手からは矢玉が一斉に撃ち出され、
先陣の兵は先を争って塀際に押し寄せ、井楼には大鉄砲が上げられて城中に撃ち込まれた。

一方、敵方にも根来衆・雑賀衆・湯川衆および紀伊国奥郡衆約二万が来援し、
遠里小野(現住吉区)・住吉・天王寺に陣を張って織田勢へ鉄砲三千挺を撃ちかけてきた。

稀にみる砲戦であり、敵味方の砲音は日夜天に轟き、黒煙が地を覆った。

この火力戦に野田・福島の両城は次第に疲弊し、さまざまに交渉して和睦をはかってきた。
しかし信長公はこれを容れず、「程を知らぬ奴輩、攻め干すべし」といって殲滅を決意した。」』
「信長公記」の記述だ。

さすが、太田牛一(『信長公記』の筆者。信長研究の一級史料)。臨場感がある。



記述のなかで、
『三好方がさまざまに交渉して和睦をはかってきた。』とある。

三好方は信長が呑めそうもない条件を、つきつけたのではないだろうか?
おそらく、時間かせぎだったのでは?本願寺の参戦を待っていたのでは?

それにしても、信長はこの時点で石山本願寺が敵対してくるとは、思っていなかったのだろうか?
信長が本陣とした「天満が森」や「海老江」は本願寺とは目と鼻の先、
もし本願寺が敵対してきたら、海や川に追い落とされる危険がある。

それとも、信長は「本願寺が敵対してきても蹴散らすことができる」と思っていたのだろうか?


織田信長という人は、ときどき慎重さを欠く。
言い換えれば、人を信じる(信じたい)ところがあるように思う。
だから興味深いとも言える。
「そつのない慎重な物言い」より、「失言もありの、心のうちが垣間見える物言い」のほうが面白い、のと同じだ
(傍観者からは)。

永禄十一年の上洛の際、わずかな供回りで浅井氏の佐和山城で七日間、とどまった。
このとき、浅井家中では「またとない機会だから、信長を討ちとってしまおう」という声があった。
浅井長政が、それを抑えて事件は起きなかった、
という説がある。

元亀元年の「金ケ崎の退き口」。
越前敦賀に攻め入った信長に、義弟の浅井長政が反旗をひるがした。
包囲されるのを、からくも?すり抜けて退却に成功。
長政の寝返り(信長からみれば)は、まったくの想定外だったのだろう。

天正六年、重く用いた(信長からみれば)荒木村重の離反(謀反)。

きわめつけは、御存じ、天正十年の「本能寺の変」、明智光秀を信じていたのだろう。
これまた、破格の待遇で重く用いていた(信長からみれば)。

などなど・・・

脱線した。

信長が想定していたかどうか?はわからないが、
はたして、石山本願寺に早鐘がなった。
本願寺の顕如(けんにょ)は信長との全面対決を選んだのだ。

えらいこっちゃ、ホンマ! どうする?

この続きは、またいつか・・・


semeru12.jpg

<イラストは「三好方を攻める織田勢」とした。>

ドラマや映画の戦国時代の攻城戦には、
城(砦)側には櫓がそびえ、木柵や濠が巡らされている。

攻める側はとみると、「竹束や盾から鉄砲を射かける・・・」と描いているのは良心的なほうで、
やみくもに城(砦)に攻め寄せ、城側の鉄砲になぎ倒される。
攻城側もバカじゃないのだから、そんな無策ではないだろう。

これでは、旧日本軍の「バンザイ突撃」と同じではないか。
貧弱な装備を精神論にすり替えた。

相手も装備が貧弱なら、効果があったのかもしれないが、
米軍のような優秀な装備の敵には、無謀だった。無残だ!


脱線した。

『信長公記』に攻め手側のことが書かれている。

① 井楼(せいろう、櫓のこと)がでてくる。

攻城側も濠ちかくに井楼(櫓)を立てた。
井楼からは城内の敵の動きが観察することができるし、射撃も可能だったろう。


② 『敵城の周囲に散在する入江や堀を草で埋め立てさせた・・・』
『足軽たちが夜ごと作業して築き上げた土手からは矢玉が一斉に撃ち出され、・・・』とある。

攻める側も、濠を埋め、高く土手を築き、より高い位置から射撃したのだろう。
城側からの妨害をうけるから、援護部隊がおかれ、
工事が遅れるから、「夜ごと」の作業だったのだろう。

城や砦は土木工事でつくられた要塞だ。
それを攻めるためには、攻める側も土木で対向するのが必然。

攻城兵器として投石機のようなものも、あったかもしれない、とボクは想像している。
(当時の日本の城や砦は、木と土のものがほとんどで投石機を必要としなかった、という説が有力)


③ 『稀にみる砲戦であり、敵味方の砲音は日夜天に轟き、黒煙が地を覆った。』
と『信長公記』にある。

この時の戦いは、何千という鉄砲の銃撃戦だったのだ。
当時の最新の戦闘があったのだろう。

古い映画の合戦シーンなどでは、情けない鉄砲がよくでてきた。
パン・・・、情けないほどまばらな発砲と弾着。
嘘くさい硝煙。

技術がなかったのか?予算がなかったのか?想像力不足だったのか?
そのいずれもだったのだろう。

納得のいく戦国の銃撃戦シーンをみたのは、黒沢明の映画『影武者』と『乱』だった。
無数の鉄砲の間断のない発射と弾着。

映画の評価は分かれているが、「さすが黒沢!」と思った。
「世界の黒沢」だったから予算の獲得が出来た、という面もあったのかもしれない。
これ以降の戦国銃撃戦シーンは、大きく変わった(変わらざるを得なくなった)。


④ 『井楼には大鉄砲が上げられて城中に撃ち込まれた。』とある。

大鉄砲とは標準型の種子島(鉄砲)を拡大、強化したものだろう。
より重い弾を発射するため、各部は強化され、火薬も多い、当然、重くなる。

信長が用いたとされる三十匁(もんめ、玉は約113g、口径27㎜程度)砲では、
約35~40kgの重さだったのではないだろうか?
一貫目筒(口径約89mm)では、砲の重さが80kg~120kgあったという。

今でも、火縄銃のデモンストレーションなどで、大筒が披露されることがある。
発射準備を整えた大筒を両手で構え、
発砲と同時に、体をひねって、その大きな反動を逃がす。曲芸のような射撃だ。

ひとつ間違えば、ケガ(例えば骨折)をするだろう。

弾は炸裂弾ではなく、金属の丸弾だった。
人に直撃すれば死ぬか大けが、
櫓や塀などの構造物に当たれば、効果があっただろう。

それに、敵兵にあたえる心理的影響も無視できない。


今回、使用したといわれる大鉄砲(大筒)は三十匁だったのだろう。
イラストのような木製の台座に据えて、発砲したのではないだろうか?

天文十二年(1543)種子島時尭が鉄砲をはじめて入手してから 27年後、
大鉄砲(大筒)を開発、装備するまでになっていた。

鉄砲の需要が活発だったのだ。派生型が開発された。

標準型(三~四匁の弾丸)、

狭間筒(長銃身、命中精度が高かったのだろう。狙撃銃か?)、

馬上筒(標準方の半分の長さ、両手で射撃したという)、

短筒(小型の鉄砲)、

大口径銃(六匁以上を中筒といった)
大鉄砲(大筒)はそれを発展させたものだったのだろう。


「信長夜話・その94」に続く→




谷口克広著「信長合戦全録」中公新書¥840+税
東郷隆・上田信 著「戦国武士の合戦心得」講談社文庫¥495+税
を参考にしました。





  1. 2017/11/21(火) 07:26:37|
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